
バブル崩壊後、賃貸マンション・アパート等を退去する際、敷金が戻らないばかりか、追加支払を請求されるケースが増えています。
これは、これまで賃貸人が負担していた新規入居者を募集しやすくするための投資の費用まで、退去者から徴収しようとするところからトラブルが生じているようです。
昭和から平成にかけてのバブルの影響も考えられます。この時期高い建設費をかけ高金利の資金借入れで建設された賃貸物件は、当初の家賃より減額を余儀なくされ、礼金も取れないなど家主の収益性は悪化しております。
さらには賃借人の住居に対する要求水準の上昇もあります。
できれば新築さもなければそれに準ずるリフォームが要求され、この条件を満たす物件から契約が成立しているという現状があります。
本来なら、この費用は賃料に反映されるべきものなのですが、不景気による空室事情から、それもままならないのが現実です。
すると賃貸人は、入居者募集時にはリフォーム済みの住居を礼金もなく低廉に提供し、その埋め合わせを敷金の返還を拒むことで、また「原状回復」の名のもとに多額の費用を請求し、本来賃貸人が負担すべき必要経費を回収しようする状況が生まれます。
またバブル期には、税金対策・相続対策として賃貸住居の建設が提唱され、バブル期後半も建設費用の下落・低金利を背景にハウスメーカーや金融機関が不動産経営を有利な資産運用法であるとして一般市民に奨めたこのもトラブルの遠因として考えられます。
つまり素人の賃貸人にとっては、経営のための再投資という理解が少なく、初期の投資金の早い回収と不動産経営による利益の追求が最大の関心事になりがちであるということです。
これらのことから、賃貸借契約書は賃貸人に有利な条項が「特約」として記載されるようになります。
しかも、その具体的内容については賃借人・賃貸人相互の共通の理解のないまま契約書に押印し、契約が成立してしまいます。
また、この「特約」の内容には「原状回復」といった曖昧でいろいろな解釈の可能な条項もあり、相互が独自の解釈や思い込みで理解し、後にトラブルとなる例がきわめて多いのです。